【田んぼの防水作業「畦(あぜ)塗り」】
今年もスタートしました!畦(あぜ)塗りは、田んぼを取り囲んでいる土の壁に田んぼの土を塗り付けて、割れ目や穴を塞ぎ、防水加工をすることです。モグラやケラが開けた穴から水が漏れるのも防ぎます。水が漏れると、水の管理が困難になるだけではなく、除草剤や肥料の効果も低下します。

【田起こしの目的と効果】
土が乾くと窒素肥料が増加します。土に含まれる窒素は、植物が吸収しにくい有機態窒素の形で存在していますが、田起こしをすることで、土の中に空気が入って乾燥しやすくなり、微生物による有機態窒素の分解が促進され、植物が吸収しやすい無機態窒素に変化します。これを「乾土効果」と言います。

また、土を起こして乾かすと土が空気をたくさん含むので、稲を植えたときに根の成長が促進されます。深く耕すほど高収量が得られるという意味で「七回耕起は、肥いらず」「耕土一寸、玄米一石」などと言われてきました。

さらに稲の切り株や刈り草、レンゲなどの有機物を鋤き込みます。この有機物を微生物やミミズなどが分解して、養分を作り出します。これが有機質肥料です。有機質肥料の中には、窒素・リン酸・カリをはじめとする微量な養分も含まれています。

【代掻き(しろかき)作業】
代掻き(しろかき)は田んぼに水を入れ、土を砕いて均平にしていく作業です。稲をしっかりと育てるため、田植えの前に行う重要な準備です。

【代掻きの目的と効果】
代掻きは、田起こしが完了した田んぼに水を張って、土をさらに細かく砕き、丁寧にかき混ぜて、土の表面を平らにする作業です。代掻きには次のような目的・効果があります。

1. 田んぼの水漏れを防ぐ。
2. 土の表面を均して、苗がムラなく生育するようにする。
3. 苗を植えやすくし、苗の活着と発育を良くする。
4. 元肥(もとごえ)をムラなく混ぜ込む。
5. 藁や雑草を埋め込む。
6. 雑草の種を深く埋め込むことにより、雑草の発芽を抑える。
7. 有害ガスを抜き、有機物の腐熟を促進する。

【田植え】
苗代田(なわしろだ)で12〜15cmほどに成長した苗を田んぼに移植する作業が「田植え」です。昔は手で1つ1つ苗を植えていく重労働でしたが、現在では田植機を使って等間隔で植えていきます。田植えの時期は地域によって異なりますが、一般的に本州では5〜6月に田植えを行います。

稲の栽培では、田んぼに種籾(たねもみ)をまいてそのまま育てる「直播栽培(ちょくはんさいばい)」 と、苗代田や育苗ハウスで育てた苗を移植する「移植栽培」の2つの栽培法があります。現在では、移植栽培が主流で、次のような目的・効果があります。

1.苗代田で育てた方が良い苗を均一に育てることができます。広い田んぼで育てるより、狭い苗代田の方が保温・水管理・施肥・病害虫駆除などの管理が徹底して行えるからです。

2.雑草を防除できます。苗を移植する前に田んぼに水を溜めておくことで、多くの雑草が、芽を出すことができなくなります。

3.早期栽培が行えます。苗代田では、保温がしっかりできるので、人工的に良い環境を整え早く苗を育てることができます。夏の暑い盛りに開花して、光合成が盛んにできるようにスケジュールを組むことが可能です。

【草刈り】
高温多湿の日本では、すぐに雑草がはびこります。そのため、昔は米作りの所要時間の半分近くが雑草取りと言えるほどでした。タイヌビエやコナギなどの雑草は、次のような理由で稲の成長を妨げます。

1. 水や養分を横取りする。
2. 日光をさえぎる。
3. 風通しが悪くなる。
4. 病害虫の発生源となる。

【新しい茎が出る「分げつ(ぶんげつ)」】
(種まきから60日目頃)苗は夏が近づくとともにぐんぐんと伸び、品種や銘柄によっては30cmを超えるものも出てきます。また、種子から出た茎の根元から新しい茎が出てくることを「分げつ(ぶんげつ)」と言います。

苗1株で茎が20本前後になると「分げつ」は止まります。1株の苗が3~4本とすると、1本の苗の茎が5~6本になったら分げつは止まります。その後、茎の中で穂を作る準備をします。これを幼穂形成期と言います。1本の茎から、1つの穂が出ます。茎が太いほど、大きくて長い穂ができます。大きくて長い穂には籾がたくさんできますから、茎が太ければ太いほど、お米がたくさん穫れると予測できます。

【刈り取りの開始】
【種まきから150日目頃】 籾(もみ)が栄養分をしっかりと溜め込む頃、稲穂は黄金色になります。田んぼ一面が黄金色に輝き出せば、いよいよ刈り取りの季節です。